ベテラン会計士のブログ
社外取締役及び監査役~日本企業の機関のあり方~
先般の日経新聞に、政府が上場企業に対する複数の社外取締役の設置を要請(義務ではないが)する方針で調整している、という記事が掲載されていました(以下、記事を抜粋)。
改正会社法でも社外取締役を置くことを推奨する予定であり、上場企業のコンプライアンス強化が様々な角度から講じられていますね。
以前改正会社法の研修を受講した際、会社法立法者のひとりであった弁護士の先生が、「社外取締役がいても不正が起きている事例は多い」といったコメントをされており、社外取締役の設置が企業のコンプライアンスの強化につながるのか、疑問を呈しておられていたのが印象的でした。
私も上場会社に10年ほど在籍し、その後同社の監査役に就任、現在も監査役という立場で当該企業に携わっていますが、社外の優秀な方々の貴重なご意見を聞くという意味では、極めて有効な手段だと思う一方で、本当にコンプライアンス強化に繋がるのか、疑問が残るところです。
もしこの要請が現実のものになった場合、監査役にも社外役員を要請し、取締役にも社外役員を要請することになりますね。実態からすると、コストばかりがかかってしまい、何か違う方向に進んでいるのではないか、そんな気がしています。本当のところは、多くの海外機関投資家が投資判断基準の一つに社外取締役の有無を入れている点にあるようですが・・・。
結局、各企業にあったコンプライアンス体制を構築することが実態としては極めて重要なのだと思う今日この頃です(^^;。機関設計は、ある程度自由にする反面、罰則強化を図ることで、コンプライアンスは強化されないのか、と思っています。
私は、監査役という立場について、形式にとらわれず、実態として機能するよう今後も努めていきたい、そう思っています。