ベテラン会計士のブログ
海外視察旅行の税務
社内の旅行というと慰安旅行がそれにあたりますが、会社の今後の戦略のため、一部の役員従業員が視察旅行に海外に行く、なんてこと往々にしてあるかと思います。
アベノミクス効果で今まで自粛してきた海外への社員旅行や視察旅行を復活させた会社は結構あるのではないかと思っています。
そこで、今回は、法人が負担する海外への視察旅行の税務について考えていきたいと思います。
海外への視察旅行については、法人税法基本通達9-7-6が存在していますが、個別通達である平成12年10月11日付「海外渡航費の取扱い(法令解釈通達)」が非常に参考になります。要約すると、海外への視察旅行に行った際の「業務従事割合」を計算し、その割合に応じて損金算入できる金額を算出できる、ということです。
「業務従事割合」は以下の算式によって算出します。
(算式) 「視察等の業務に従事したと認められる日数」÷(「視察等の業務に従事したと認められる日数」+「観光を行ったと認められる日数」)
この結果、原則は、業務従事割合に応じて損金算入出来る金額が算出されますが、①「業務従事割合」が90%以上となれば、全額損金算入でき、10%となれば、逆に全額損金できない、となっています。
また、その旅行が業務遂行上直接必要とされ、業務従事割合が50%以上であれば、往復の交通費は全額損金算入でき、その他の費用を業務従事割合相当分損金に算入出来ることとなっています。
さらに、 証拠資料とともに海外視察等の動機、参加者の役職、業務関連性等を十分検討する必要があります。
単純ではないですね。海外視察旅行であれば、感覚的には損金にできそうですが、その名目で実際に慰安の色が強ければ、「給与」として源泉課税されることとなってしまいます。
参加者の詳細な「業務報告書」の提出や綿密なスケジュールに基づき、タックスプランニングを検討しつつ、計画の修正、実行といったように進めていくことが肝要なのだと思います。