でんた丸ブログ
君たちはどう生きるか (1)
以前、AIにない人間の特徴として倫理観の存在を一例として挙げました。倫理とは、生き方の中で中心にあるもので、モラルとも言います。ここからは、この倫理について『君たちはどう生きるか』(以下、「本」といいます。)という吉野源三郎の著作を題材に考えていきたいと思います。ちなみに、この本と同名の、宮崎駿監督によるアニメ映画が昨年公開されました。宮崎駿監督は、少年時代にこの本を何度も繰り返し読み、感銘を受けたため、自分なりのメッセージをこの度、世に伝えたいと思い、『君たちはどう生きるか』という映画を作ったそうです。
本の内容は、中学一年生のコペル君が、その母親の弟で大学を出たての叔父さんに自分の体験を語り、叔父さんが自分のノートに当該体験に対するコメントを書き留めるという形で進められていきます。大銀行の重役であるコペル君の父親は、亡くなる前に、妻の弟である「叔父さん」にコペル君が人間として立派に育つことを託しました。そこで、叔父さんは、自分のノートに書き留めた内容をいつかコペル君が読むだろうと期待して、コメントを書いています(実際、コペル君が中学二年生になることとなった春休みに、叔父さんは、そのノートをコペル君に読むように手渡しました)。
本の第1章は、「へんな経験」という題名です。コペル君は中学一年生のときに、人間一人一人を客観視して世の中の一分子として捉える見方に気づくという「へんな経験」をしました。今までは自分を中心に据えて人間社会を観察していたのですが、「へんな経験」をしてからは人間を抽象化して、ある一定のルール・秩序の下に動く一人一人の人間としてみることができるようになりました。
道をひらく
以前紹介した経営の神様と呼ばれる松下幸之助が執筆した本の中には、戦後2位のロングセラーで、今も多くの人に読み継がれている随筆集があります。それが1968年に出版された『道をひらく』です。この本では、以下の3点が生きる上で重要とされています。
・素直な心=自分の利害を超えた利他の心
・志を立てる
・真剣である→失敗から学ぶ前向きな姿勢
当たり前と考えていても、当たり前に実行することがなかなかできないからこそ、長い間、座右の書として重宝されてきたのでしょう。
縦串と横串
現横浜市長である山中竹春氏は、市長となる前は、横浜市立大学の医学部教授でしたが、専門は、データサイエンスです。データサイエンスは、統計学とコンピューターによる計算(情報学)の2要素から成り立っている学問であるところ、医学部・経済学部・工学部などに、データサイエンスの1要素である統計学を専門とする研究者がそれぞれ所属して、教育・研究を行っているというのが従来からの日本の現状でした。統計学という方法論を専門とする統計学部が米国には従来からある一方で、日本ではそのような学部は今までなかったのです。しかし、今日ではIT人材不足を懸念して、2017年の滋賀大学におけるデータサイエンス学部の開設を皮切りに、様々な大学でデータサイエンスの専門学部が誕生しています。
2022年度の情報処理推進機構の調査によると、日本企業では、ITに見識のある役員の割合が3割未満というグループが全体の7割と大多数を占めており、ITに見識のある役員の割合が5割合以上というグループは全体の2割未満とかなり少数派です。一方、米国企業では、ITに見識のある役員の割合が5割合以上というグループが、全体の4割も占めており、ITに見識のある役員の割合が3割未満というグループと同じ位あります。
これから経済において高い生産性が求められる中では、AIを活用して、信頼できるデータ分析に基づいて意思決定のできる経営者の重要性が益々高くなります。個別産業分野を縦串とすれば、データサイエンス等の分野横断的な方法論を武器にうまく横串を通すことのできる人材の価値が今まで以上に高まっていくでしょう。
【所得税法】配当所得について総合課税を選択するのは有利か
3月決算の会社においては、配当基準日が3月31日になっていることが多いです。この日に株主になっていないと配当を受け取ることはできません。今年は、3月30日と31日が土日になるため、配当を受け取るためには3月27日までに株式を購入する必要があり、3月28日が権利落ち日となります。
配当所得に対しては税金が源泉徴収されています。一般株式等の源泉徴収税率は、所得税20%、復興特別所得税0.42%です。上場株式等の源泉徴収税率は、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%です。
復興特別所得税は所得税額の2.1%相当額となるので、簡単化のため、ここでは考慮外とした上で、配当所得において総合課税を選択するのが有利かどうか(一般株式等については、総合課税を選択できる場合であることが前提です。)について考えてみます。結論としては、所得税率は累進税率であるため、配当所得を含めた課税総所得金額(総所得金額ー所得控除額)が3,299,000円以下で所得税率が10%の範囲内となる場合には、申告不要とすることができるときでも、配当所得において総合課税を選択し確定申告をする方が有利となります。理由は次のとおりとなります。
1.一般株式等
所得税率10%ー配当控除率10%ー源泉徴収税率20%=△20%
となり、源泉徴収税額の全額について還付を受けることができます。
2.上場株式等
所得税率10%ー配当控除率10%ー源泉徴収税率15%=△15%
となり、一般株式等と同様に、源泉徴収税額の全額について還付を受けることができます。
監基報
公認会計士が監査業務に従事しなくなっている理由として、監基報の存在が、監査の魅力を減じているという内容の新聞報道が昨年にありました。今回は、監基報(監査基準報告書)の位置づけについて確認します。
金融庁の企業会計審議会が、①「監査基準」「中間監査基準」「監査における不正リスク対応基準」と②「監査に関する品質管理基準」を定めており、両者は一体として適用されるものとしています。監基報は、このうち①の基準に関して日本公認会計士協会(JICPA)が定めた細則です。②の基準に関してJICPAが定めた細則としては、品基報(品質管理基準報告書)が別途あります。
監査基準は1956年に定められていて、その後、累次の改訂がなされ現在に至っています。一方、監基報は、JICPAが編纂した『監査実務ハンドブック』によれば、2011年に定められたものが改正されて現在に至っている、となっています。この1956年と2011年との間に時の差があるのは、なぜでしょうか。これは、国際監査基準(ISA)を作成している国際監査・保証基準審議会(IAASB)が、ISAの構成に係るクラリティ・プロジェクトを進めた(2004年~2009年)ことに起因します。日本でも、このクラリティ・プロジェクトにならい、監基報の構成について(ⅰ)監査上の「要求事項」とその解釈に当たる「適用指針」を明確に区別すること、(ⅱ)個々の報告書の「目的」を明確にすること、という形で見直すこととなりました(新起草方針の採用)。こうして現在の監基報の元となる規定が2011年に定められた、ということになっているのです。