でんた丸ブログ
日本の相続税制度の特徴と歴史
日本の相続税制度は、遺産課税方式と遺産取得課税方式のいわゆる併用方式(法定相続分課税方式による遺産取得税方式)を採用しています。すなわち、遺産分割を仮装した租税回避又は脱税を防止するとともに相続人間の税負担の公平を期するために、民法上の法定相続人が、法定相続分にしたがって遺産を分割取得したものと仮定して相続税の総額を計算し、この相続税の総額を、実際に遺産を取得した者が、その取得分に応じて納付するという方式になっています。
1.遺産課税方式(遺産税)
・人が死亡した場合に、その遺産を対象として課税する制度
・人は生存中に蓄積した富の一部を死亡にあたって社会に還元すべきであるという考え方に基づく、本来の意味の財産税です。
・アメリカ、イギリスなど英米系の国々で採用されています。
2.遺産取得課税方式(遺産取得税)
・人が相続によって取得した財産を対象として課税する制度
・偶然の理由による富の増加を抑制することを目的としており、所得税の補完税としての実質を有しています。
・ドイツ、フランスなどヨーロッパ大陸諸国で採用されています。
3.日本における相続税制度
・1905年(明治38年)に相続税を採用した当時は遺産税を採用
・1950年(昭和25年)のシャウプ税制以降は、遺産取得税へ移行
・現行の法定相続分課税方式は、1958年(昭和33年)の相続税法改正で採用されました。これにより、税額の合計額は、遺産が最終的にどのように分割されるかとは関係なく、相続人が法定相続分で相続したと仮定して計算した場合の税額の合計額と等しくなるようになりました。