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贈与による財産取得の時期

贈与税の納税義務は、「贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。)による財産の取得の時」に成立する(国税通則法1525号)ところ、更正、決定及び賦課決定には6年の除斥期間(※)がある(相続税法371項)ため、贈与による財産の取得を税務署長が覚知せずに除斥期間が経過し課税の機会を失うという事態が生じえます。 そこで、贈与による財産取得の時期をどう解釈するかが問題となってきます(相続税法基本通達1314共-8及び1314共-11参照)。 

※除斥期間の3つの特徴 

当事者の援用(時効により利益を受けるものが、時効の利益を受ける意思表示をすること)が不要である。 

中断(既に経過した時効期間が無意味となり、振り出しに戻ること)がない。 

権利の存続期間が予め予定されていて(ここでは6年)、その期間の経過により権利が絶対的に消滅する。 

1.書面によらない(口頭による)贈与の場合 

この場合、「その履行の時」が贈与による財産取得の時期となります。 

書面によらない贈与は、履行が終了するまで解除することができる(民法550条)ため、財産が確定的に移動するのは履行の終了時となるからです。 

(例) 

贈与による財産取得が1231日になされた場合と翌年11日になされた場合をみると、次のような流れがありえます。 

贈与による財産取得が20231231日になされた。受贈者は2024315日までに贈与税の申告をしなかった。→2030314日までに決定がなされなかった。国の課税権は2030315日に消滅する。 

贈与による財産取得が202411日になされた。受贈者は2025315日までに贈与税の申告をしなかった。→2031314日までに決定がなされなかった。国の課税権は2031315日に消滅する。 

口頭による贈与契約が20231231日になされ、翌年11日に履行がなされた場合、贈与による財産取得が202411日になされたことになり、上記②の流れで国の課税権が2031年3月15日に消滅します。このように、贈与による財産の取得時期が1日違うだけなのに、国の課税権の消滅する時期が1年異なってくる場合があり得ます。 

2.書面による贈与の場合 

この場合、「その契約の効力の発生した時」が贈与による財産取得の時期となります。 

(注)所有権等の移転の登記又は登録の目的となる財産について、上記1.2.の基準では贈与の時期が明確でないときは、特に反証のない限り、その登記又は登録があった時に贈与があったものとされます。 

 

 


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