でんた丸ブログ
相続税の課税価格に加算される生前贈与財産と債務控除の関係
相続人又は包括受遺者が被相続人から相続等により債務を承継するケースについて、その債務額が取得する財産の価額を上回るとき、相続税の課税価格に加算される生前贈与財産の価額と相殺することができるのかが問題となります。
そこで以下では、暦年課税の場合と相続時精算課税の場合に分けて考えていきます。
1. 暦年課税の場合
債務及び葬式費用の額が取得財産の価額を上回っていたとしても、その控除しきれない額は、暦年課税分の贈与財産価額からマイナスすることはできません(相続税法基本通達19-5)。
(例)
取得財産(相続財産)の価額 100、債務及び葬式費用の金額 120、暦年課税分の贈与財産価額 30 のケース
純資産価額=100-120=△20 ➡ マイナスとなる場合には、ゼロとなる。
課税価格=純資産価額+暦年課税分の贈与財産価額=0+30=30
2.相続時精算課税の場合
相続時精算課税を選択した受贈者が相続人又は包括受遺者である場合、相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額から債務及び葬式費用の金額を控除することができます(相続税法基本通達13-9)。
(例)
取得財産(相続財産)の価額 100、債務及び葬式費用の金額 120、相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額 30 のケース
純資産価額=100+30-120=10(上記1.のケースと同様に、マイナスとなる場合には、ゼロとなる。)
課税価格=純資産価額 10+「暦年課税分の加算がある場合の、暦年課税分の贈与財産価額」