でんた丸ブログ
扶養義務者相互間でなされた生活費又は教育費に充てるための贈与
暦年課税又は相続時精算課税に係る贈与がなされた場合に、生前贈与加算の対象となるのは、原則として「贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるもの」です(相続税法19条1項第1括弧書、21条の15第1項括弧書)。従って、贈与税の非課税財産(相続税法21条の3)は、贈与税の課税価格に算入されないため、上記の生前贈与加算の対象にはなりません。
ここでは、贈与税の非課税財産のうち、「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」(相続税法21条の3第1項2号)についてご紹介いたします。
この非課税財産の該当性については、以下の3つのポイントがあります。
当該贈与が、
① 扶養義務者相互間でなされたものであるか
② 生活費又は教育費に充てるためになされたものであるか
③ 通常必要と認められる範囲内のものであるか
です。
以下では詳細を省略して簡潔に紹介するにとどめますので、詳細をお知りになりたい方は、国税庁が平成25年12月に発出した『扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A』をご覧ください。
1.扶養義務者
扶養義務者に該当するか否かは贈与時の状況により判断します。
扶養義務者とは以下の者をいいます。
① 配偶者
② 直系血族及び兄弟姉妹
③ 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
④ 三親等内の親族で生計を一にする者
2.生活費又は教育費
・生活費とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費 を除きます。)をいいます。また、治療費や養育費その他これらに準ずるもの(保険金又は損害賠償金により補てんされる部分の金額を除きます。) を含みます(相続税法基本通達21の3-3)。
・教育費とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる学資、 教材費、文具費等をいい、義務教育費に限られません(同通達21の3-4)。
3.通常必要と認められるもの
必要な都度直接、生活費又は教育費に充てるための贈与である必要があります(相続税法基本通達21の3-5)。
また、「通常必要と認められるもの」は、被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産とされています(同通達21の3-6)。