でんた丸ブログ
契約にリースが含まれているか否か(その5)
会計基準第26項により、契約は、(1)資産が特定され、かつ、(2)特定された資産の使用を支配する権利を移転する場合に、リースを含むとされるところ、前回の(その4)までは、(1)の要件に関する具体例をみてきました。今回からは、(2)の要件に関する具体例をみていきます。
1.上記(2)の要件の内容
適用指針第5項により、顧客が、特定された資産の使用期間全体を通じて、①資産の使用から生じる経済的利益のほとんどすべてを享受する権利を有し(同項(1)参照)、かつ、②資産の使用を指図する権利を有する場合(同項(2)参照)、資産の使用を支配する権利が移転することになります。
更に、適用指針第8項によれば、上記②について、(ア)使用期間全体を通じて使用から得られる経済的利益に影響を与える資産の使用方法を指図する権利を顧客が有しているか(同項(1)参照)、又は(イ)使用から得られる経済的利益に影響を与える資産の使用方法に係る決定が事前になされている場合に、(ⅰ)使用期間全体を通じて顧客のみが資産の稼働に関する権利を有しているとき、若しくは、(ⅱ)顧客が使用期間全体を通じた資産の使用方法を事前に決定するように資産の設計を行っているとき(同項(2)参照)に、顧客が資産の使用を指図する権利を有している、といえるとされます。
2.具体例
【顧客が資産の使用を指図する権利を有していない具体例】
・顧客A社は、2年間にわたりサプライヤーB社が提供するネットワーク・サービスを利用する契約を締結した。
・B社は、ネットワーク・サービスを提供するために、A社の敷地にサーバーを設置する。
・B社は、A社との契約で定められたネットワーク・サービスの水準を満たすようにデータの通信速度を決定し、必要に応じてサーバーの入替えを行うことができる。
・A社は、契約の締結時にネットワーク・サービスの水準を決定することができる。ただし、契約変更を行わない限り、使用期間全体を通じて、契約で定められたネットワーク・サービスの水準を変更することができない。
・A社は、サーバーを使用してどのようにデータを送信するのか、サーバーを再設定するのか、他の目的でサーバーを使用するのかどうかなどのサーバーの使用方法に関する重要な決定は行わない。
・A社は、設計に関与しておらず、サーバーを稼働する権利も有しない。
このような状況では、適用指針第8項の(1) (2)をともに満たさず、B社が当該サーバーの使用を指図する権利を有していることになります。A社は、契約で定められたネットワーク・サービスの水準の利用をすることができるのみで、契約にサーバーのリースは含まれていません。
【顧客が資産の使用を指図する権利を有している具体例】
・顧客A社は、サプライヤーB社と3年間にわたりサーバーを使用する契約を締結した。
・B社は、A社からの指示に基づき、A社の敷地にサーバーを設置し、使用期間全体を通じて、必要に応じてサーバーの修理及びメンテナンス・サービスを提供する。
・A社は、使用期間全体を通じて、A社の事業においてサーバーをどのように使用するのかや、当該サーバーにどのデータを保管するのかについての決定を行うことができる。
・当該サーバーは、特定された資産である。
このような状況に至ると、適用指針第8項(1)が満たされるため、A社は、使用期間全体を通じて、当該サーバーの使用を指図する権利を有しているといえます。そして、適用指針第5項の(1) (2)をともに満たし、さらに資産が特定されているため、契約には当該サーバーのリースが含まれることになります。