でんた丸ブログ
低利息債務の評価
相続税法22条によれば、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況によるとされています。現状は金利が非常に低くあまり問題視されていないのですが、今後は金利が上昇していくことが予想されるため、今回は、通常の利率よりも約定利率が低い債務の評価の仕方について簡単な例を用いてみてみます(最高裁昭和49年9月20日判決参照)。
(例)
・通常の利率:年3%(その時々の金融市場の趨勢から相当な利率を判断します。)
・約定利率:年1%
・債務の元本金額:1億円
・元本の返済条件:5年後に一括弁済
・利息の支払条件:1年毎の後払い
この場合、通常の利率で利息を毎年払うと同時に、通常の利率による利息と約定利率による利息との差額に相当する給付を毎年受けるのと経済的にみて同様と考えます。従って、毎年300万円の利息を払い、200万円を同時に受け取ると考えます。そして、この毎年受け取る200万円を、通常の利率で複利により割り引いた現在価値分だけ、元本の1億円から差し引いた金額が、この場合の債務の評価額となります。
・1年後の200万円の割引現在価値:1,941,747円
・2年後の200万円の割引現在価値:1,885,191円
・3年後の200万円の割引現在価値:1,830,283円
・4年後の200万円の割引現在価値:1,776,974円
・5年後の200万円の割引現在価値:1,725,217円
上記の割引現在価値の合計額:9,159,412円
この9,159,412円を1億円から差し引いた金額である90,840,588円が、この例における低利息債務の評価額となります。