でんた丸ブログ

「控除対象外消費税額等」の条文上の定義

インボイス制度が今年の10月1日からスタートしました。今回は、その経過措置の法人税法上の処理について考えてみたいと思いますが、その前にインボイス制度の内容について確認します。

インボイス(適格請求書又は適格簡易請求書)発行事業者以外の者(免税事業者、一般消費者又は登録を受けていない課税事業者)からの仕入れについては、仮にそれが課税仕入れであっても、原則として仕入税額控除の対象にはできません(消費税法30条1項、7項、8項、9項)。

但し、例外として、不動産業者・廃品回収業者・古物商・質屋が行う棚卸資産の仕入取引については、その相手方がインボイス発行事業者以外の者であっても、仕入税額控除の対象とすることができます(消費税法30条7項、消費税法施行令49条1項1号ハ)。

ここまでが、インボイス制度の内容ですが、経過措置として以下の負担軽減策が設けられました。つまり、2023年10月1日のインボイス制度スタートから3年間は、負担軽減策として仕入税額の80%相当額を、更にその後3年間は、仕入税額の50%相当額を仕入税額控除の対象とすることができます(平成28年改正法附則52条1項、53条1項)。

では、残余の仕入税額の20%相当額や50%相当額は法人税法上、どのように処理すべきなのでしょうか。これらは、本来的に仕入税額控除の対象にできないため、仕入れの対象が資産であっても、控除対象外消費税額等になることはありません。このことは、法人税法施行令139条の4第5項の「控除対象外消費税額等」の定義(法人税の課税上の用語であり、仕入税額控除の適用を受ける場合における課税仕入れ等に係る消費税額等のうち、仕入税額控除をすることができない金額のこと)から分かります。従って、残余の仕入税額の20%相当額や50%相当額は法人税法上、取引の対価の額に算入して法人税の所得金額の計算を行うことになります。

※附則:法律の中の本則以外の部分で、施行期日や、法律の制定・改廃による急変を緩和するための経過措置などを示す役割があります。インボイス制度は平成28年税制改正法により措置されたものですが、附則において上記の負担軽減策としての経過措置が定められました。

※法人税法65条で、「各事業年度の所得の金額の計算の細目」は政令で定めるとされており、その委任を受けた法人税法施行令139条の4で、「資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入」について定められています。


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