でんた丸ブログ

地方公共団体間での税源の偏在

我が国では、地方公共団体間で税源が偏在しているため、住民1人当たりの税収額の格差が極めて大きい点が問題となっています。特に地方税の計40数兆円の約2割を占める「地方法人2税」と呼ばれる法人住民税(法人税割)と法人事業税の税収が、東京都などの大都市圏に偏在しています。このような格差を是正するために、国税(国が賦課・徴収する租税)を地方公共団体に交付ないし譲与する地方交付税地方譲与税がありますが、このような名称の税目があるわけではありません。今回は具体例でこの点をみていきます。(なお、次回からはリース会計基準の改正についてみていきます。)

1.地方法人税

地方法人税法は平成26年に公布・施行され、地方税である法人住民税(法人税割)の一部を地方交付税の原資にする趣旨で、地方法人税が創設されました。地方交付税法により、国税である地方法人税の全額が一定の基準に基づき、地方公共団体に配分・交付されます。

※法人税確定申告書と地方法人税確定申告書を1つにした様式を使用することで、両申告書の提出を同時に行えるようになっています。

2.特別法人事業税

特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律は平成31年(令和1年)に公布・施行され、地方税である法人事業税(所得割・収入割)の一部(法人事業税の約3割)を分離する形で、特別法人事業税(国税)と特別法人事業譲与税が創設されました。地方譲与税の1種である特別法人事業譲与税は、特別法人事業税の全額を都道府県に譲与するものです。

※特別法人事業税は、法人事業税と同じ申告書・納付書により、法人事業税と併せて都道府県に申告納付することになり、いずれか一方のみを納付するということはできません。そして、法人事業税と併せて納付された特別法人事業税は、都道府県から国に対して払い込まれ、特別法人事業譲与税として各都道府県に再配分(譲与)されます。

このような再配分は、地方への税源移譲ではなく、国主導の財源調整という集権的手法(いわゆる「ばらまき」)であり、地方の国依存を深めているという批判があります。現に、自立して財政運営できる自治体の数(地方交付税を受け取らない不交付団体の数)は、リーマンショックを機に急減して以降、増加傾向にあるものの極めて緩やかなものにとどまり、リーマンショック前の140超の半分程度で足踏み状態にあります。

 

 


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