でんた丸ブログ
分譲マンションの評価
令和6年(2024年)1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した「居住用の区分所有財産」(いわゆる分譲マンション)の価額については、令和5年9月28日付けの「居住用の区分所有財産の評価について」という法令解釈通達により評価することになっています。詳細は、同通達及びタックスアンサーNo.4667をご覧ください。
同通達は、一戸建てに比べて分譲マンションの従来の相続税評価額(財産評価基本通達の定めにより評価した価額)と市場価格との乖離が大きくなっていた(※)ため、以下の4つの乖離要因に着目し、従来の相続税評価額を補正して分譲マンションを評価するという内容になっています。
①築年数
②建物総階数
③分譲マンション一室の所在階
④敷地持分狭小度(分譲マンション一室に係る敷地利用権の面積÷分譲マンション一室に係る専有面積)
(※)2018年中の分譲マンションの売買実例によれば、売買実例価額は相続税評価額の平均2.34倍で、約65%の事例で2倍以上の乖離が観察されました。一方で、一戸建ての相続税評価額は、市場価格(売買実例価額)の6割程度の評価水準となっています。
【具体的な計算式】
評価乖離率
= 市場価格理論値 ÷ 従来の相続税評価額
= ①×△0.033 + ②×0.239 + ③×0.018 + ④×△1.195 + 3.220
(ⅰ)3分の5(約1.67) < 評価乖離率 の場合
市場価格理論値が従来の相続税評価額の「3分の5」倍よりも高い場合、すなわち従来の相続税評価額が市場価格理論値の60%未満となっている分譲マンションについては、今般の補正により市場価格理論値の60%まで評価額が引き上げられることとなりました。
(例)一般的に高層マンションほど総戸数が多くなるため、分譲マンション一室に係る敷地利用権の面積はより細分化され狭小となり(④敷地持分狭小度の値は小さくなる。)、立地条件が良好な場所でも、その立地条件の良さが従来の敷地利用権の価額に反映されづらくなり、評価乖離率が高くなります。
(注)上記60%という割合は、将来の分譲マンションの市場の変化を踏まえて適時見直されます。この見直しは、3年に1度行われる固定資産税評価の見直し時期に併せて行うことが合理的であるとされています。
(ⅱ)1 ≦ 評価乖離率 ≦ 3分の5(約1.67)の場合
今般の補正は関係なく、分譲マンションは従来どおりの相続税評価額で評価されます。
(ⅲ)評価乖離率 < 1 の場合
従来の相続税評価額が、市場価格理論値よりも高い場合には、今般の補正により分譲マンションの評価額は市場価格理論値まで引き下げられることとなりました。