でんた丸ブログ
純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)計算上の負債
取引相場のない株式等を純資産価額方式で評価する場合に、会計上は負債である引当金や資産除去債務が、負債に含まれないものとされています(財産評価基本通達186)。
この点、日本公認会計士協会「令和7年度税制改正意見書」では、以下の理由により、負債性引当金や資産除去債務を純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)計算上の負債に含めるべきであるとしています。
① 引当金のうち、例えば役職員に将来支給する退職金を債務として計上する退職給付引当金や、役職員に将来支給する賞与を債務として計上する賞与引当金は、支給の蓋然性が高く金額も大きいため、これを考慮しない株価計算は実態に即しない。
② 将来の固定資産の除去費用を債務として計上する資産除去債務も同様である。
前回と今回ご紹介した日本公認会計士協会「令和7年度税制改正意見書」における意見の背景には、次のような問題意識があります。
すなわち、「親族内外ともに事業承継の件数は増加しており、今後も事業承継を促進する必要があるところ、財産評価基本通達が定める非上場株式の時価の計算方法により算定した評価額が必ずしも実態に即しない高い金額であると次世代経営者の候補者が受け止めることが、事業承継の障害になっている。」という問題意識です。