でんた丸ブログ
暦年課税の基礎控除と相続時精算課税の基礎控除の関係
受贈者が複数の贈与者から贈与を受ける場合には、相続時精算課税と暦年課税の両方を利用することで、年間220万円の基礎控除の適用を受けることができます。
なお、相続時精算課税を適用した受贈者が複数の特定贈与者から贈与を受ける場合、年間110万円の基礎控除はそれぞれの贈与額に応じて按分されますので、相続時精算課税における年間110万円の基礎控除額を増やすことはできません(暦年課税も同様です)。
今般の税制改正で相続時精算課税と暦年課税の合計で年間220万円の基礎控除が存在することになりますが、複数の贈与者がいる場合、適用の仕方によって相続時精算課税と暦年課税とでこの基礎控除がどのような関係になるのかについて、考えてみたいと思います。
簡単化のために、孫が受贈者となり、祖父母と父母が贈与者となるケースを例に考えていきます。
1.受贈者(孫)が祖父母から相続又は遺贈(死因贈与を含む。以下同じ)により財産を取得する予定がない場合
相続又は遺贈により財産を取得する予定がなければ、相続発生時の生前贈与加算については考える必要がなく、贈与税のみで課税関係が終了します。従って、祖父母からは暦年贈与を受けた場合は、暦年課税の年間110万円の基礎控除が適用されます。
一方で、父母からは相続により財産を取得する予定があるため、父母からの贈与について相続時精算課税制度を利用した場合には、年間110万円の基礎控除を別途、適用することができます。
2.受贈者(孫)が祖父母から相続又は遺贈により財産を取得する予定がある場合
一般に、父母よりも祖父母の方が先に亡くなることが多いため、父母からの贈与よりも祖父母からの贈与の方が、相続開始前7年以内の生前贈与加算の対象となる可能性が高いと言えます。ここで、祖父母からの贈与について事前に相続時精算課税を利用していれば、生前贈与加算の対象外となる年間110万円の基礎控除が適用され、その枠の範囲内であれば、相続税の対象とはなりません。
そして、父母からの贈与については、相続開始日が祖父母よりも当分の間先になると想定されるため不確定要素を考慮し、相続時精算課税の適用はせず、暦年課税のまま必要な贈与を実行します。その後、父母が一定の年齢になった時点で、相続時精算課税制度を選択することで、以後の贈与に関しては、これまでと同様に基礎控除額の110万円は確保され、さらにこの基礎控除の枠内であれば生前贈与加算の対象外となります